
半導体投資信託の今後に影響する主なリスク
成長期待が株価へ織り込まれている
半導体関連株は、将来の高い利益成長を期待されて株価が先に上昇することがあります。
企業が増収増益を達成しても、市場が予想していた成長率を下回れば株価が下落する場合があります。半導体市場が成長していることと、半導体投資信託の基準価額が上昇することは同じではありません。
半導体特有のシリコンサイクル
半導体業界では、需要が増えると各社が工場や生産設備への投資を拡大します。その後、生産能力が需要を上回ると、在庫増加や製品価格の下落が起こることがあります。
この需要と供給の循環は、一般に「シリコンサイクル」と呼ばれます。業績が好調な時期でも、将来の供給過剰が意識されれば株価が先に下落する可能性があります。
特定企業への集中
半導体市場では、一部の大型企業が非常に大きな時価総額を占めています。時価総額加重型の指数では、こうした企業の構成比率が高くなります。
複数の銘柄へ投資するファンドでも、上位1社や上位3社の決算によって基準価額が大きく動く可能性があります。
為替変動
海外型の半導体投資信託では、組入株式の値動きに加えて為替変動の影響を受けます。
米国株が上昇しても、それ以上に円高が進めば、円換算の基準価額が下がる場合があります。反対に、株価が変わらなくても円安によって基準価額が上がることがあります。
金利上昇
将来の高い成長が期待される銘柄は、金利が上昇したときに株価が下がりやすくなる場合があります。
金利上昇によって将来利益の現在価値が低く評価されるほか、債券など株式以外の金融商品の魅力が相対的に高まるためです。
輸出規制と国際情勢
先端半導体や製造装置は、経済安全保障上の重要品目です。各国の輸出管理や関税政策が変更されると、組入企業が販売できる製品や地域が制限される可能性があります。
また、半導体の製造拠点が集中する地域で災害、紛争、物流の混乱が起きた場合、供給に影響することがあります。
半導体投資信託を選ぶ7つのポイント
1.投資する地域を確認する
日本株、米国株、世界株のどれを対象としているかを確認しましょう。
同じ半導体関連でも、日本型では製造装置や材料、米国型では設計やAI関連、世界型では受託製造や欧州の装置会社などを含みやすくなります。
2.連動する指数を確認する
インデックスファンドでは、日経半導体株指数、SOX指数など、どの指数への連動を目指しているかが重要です。
指数によって対象国、構成銘柄数、銘柄の選定方法、構成比率の上限が異なります。
3.上位銘柄の比率を見る
月次レポートで、最上位銘柄、上位5銘柄、上位10銘柄の構成比率を確認しましょう。
半導体企業を30社組み入れていても、上位数社で過半を占めていれば、実際の値動きは一部の企業へ大きく依存します。
4.信託報酬以外の費用も確認する
投資信託の主な費用には、購入時手数料、信託報酬、信託財産留保額、監査費用、売買委託手数料などがあります。
信託報酬は保有中に継続して差し引かれるため、長期間保有するほど運用成果への影響が大きくなります。
5.為替ヘッジの有無を確認する
海外資産へ投資する商品では、為替ヘッジの有無を確認しましょう。
為替ヘッジなしの場合は円高が基準価額の下落要因になります。為替ヘッジありの場合でも、ヘッジに伴う費用が発生することがあります。
6.純資産総額と資金の流出入を見る
純資産総額は、ファンドが保有する資産の総額です。純資産総額が小さい商品では、運用の継続性や繰上償還の条件も確認する必要があります。
ただし、純資産総額が大きいことや資金が流入していることが、将来の値上がりを保証するわけではありません。
7.既存の保有商品との重複を確認する
全世界株式、S&P500、NASDAQ100などの投資信託にも、大手半導体企業が組み入れられています。
半導体投資信託を追加すると、同じ企業を重複して保有し、想定以上に半導体株の比率が高くなることがあります。新しい商品だけでなく、保有資産全体で構成比率を確認しましょう。
NISAで半導体投資信託を購入する際の注意点
NISA口座で対象の投資信託を購入した場合、制度上の条件を満たす運用益や普通分配金は非課税になります。
2026年7月時点では、この記事で紹介した3商品はいずれも成長投資枠の対象です。ただし、販売会社によって取扱いが異なる場合があります。
NISAを利用しても、信託報酬や購入時手数料などの商品費用がなくなるわけではありません。また、NISA口座で損失が発生しても、課税口座の利益との損益通算や損失の繰越控除はできません。
値動きの大きなテーマ型商品へNISA枠の大部分を集中させると、長期の資産形成に必要な分散が不足する可能性があります。
積立投資なら安全になるわけではない
毎月一定額を購入する積立投資では、価格が高いときには少ない口数、価格が安いときには多い口数を購入できます。購入時期を分けることで、一度に高値で全額を購入するリスクを抑えやすくなります。
一方、積立を続けても半導体業界全体が長期間下落すれば、評価損が続く可能性があります。積立投資は元本や利益を保証する方法ではありません。
また、価格が上昇し続けた場合は、最初に一括投資した場合より利益が少なくなることもあります。
半導体投資信託を検討するときのチェックリスト
- 日本型、米国型、世界型のどれか
- インデックス型かアクティブ型か
- 連動する指数や運用方針は何か
- 上位銘柄の構成比率は高すぎないか
- 信託報酬や購入時手数料はいくらか
- 為替ヘッジの有無を確認したか
- 全世界株式や米国株ファンドと銘柄が重複していないか
- NISAの成長投資枠で取り扱われているか
- 生活費や近い将来に使う資金を投じていないか
- 半導体株が大幅に下落しても保有を続けられるか
半導体投資信託は資産全体のバランスで判断する
半導体投資信託は、生成AI、データセンター、メモリ、自動車、産業機器などの成長を支える企業へまとめて投資できる商品です。個別企業を一社ずつ選ばなくても、複数の半導体関連株へ投資できる点は特徴の一つです。
一方、日本型、米国型、世界型では、組入企業や株価を動かす要因が異なります。信託報酬が低い商品でも上位銘柄への集中度が高い場合があり、構成銘柄が多ければ十分に分散されているとは限りません。
2026年の市場統計は半導体販売の拡大を示していますが、高い成長期待がすでに株価へ反映されている可能性もあります。AI投資の減速、供給過剰、金利上昇、円高、輸出規制などによって、基準価額が大きく下落することも考えられます。
商品を選ぶ際は、直近の値上がり率だけでなく、投資地域、指数、上位銘柄、手数料、為替、既存資産との重複を確認することが大切です。半導体投資信託だけで資産形成を完結させるのではなく、幅広い業種へ投資する商品との配分も踏まえて判断しましょう。
※本記事は半導体市場や投資信託に関する一般的な情報を提供するものであり、特定の金融商品の購入、保有、換金を推奨するものではありません。投資信託は価格が変動し、投資元本を下回る可能性があります。手数料、NISAの対象区分、構成銘柄などは変更される場合があるため、購入前に最新の交付目論見書、月次レポート、販売会社の情報をご確認ください。
<参考サイト>金融庁/世界半導体市場統計(WSTS)/米国半導体工業会(SIA)/三菱UFJアセットマネジメント/ニッセイアセットマネジメント/野村アセットマネジメント/日本経済新聞社



