生成AIの普及やデータセンター投資の拡大を背景に、半導体株への関心が高まっています。一方で、半導体関連企業の株価は上昇と下落を繰り返しやすく、「業界が成長しているのに、なぜ株価が下がるのか」と疑問を感じることもあるでしょう。半導体株を正しく理解するには、半導体を製造する会社だけでなく、設計、製造装置、検査、材料などの違いを知ることが大切です。この記事では、半導体株の基本から2026年の市場環境、株価が動く要因、代表的な企業、決算で確認したい項目まで整理して解説します。

半導体や電子部品が搭載された基板のイメージ

この記事の主な内容

  • 半導体株に含まれる企業と業種の違い
  • 2026年の半導体市場と株価の状況
  • 半導体株の株価を動かす主な要因
  • 日本株・米国株の代表的な半導体関連企業
  • 決算書や株価指標を確認する際のポイント
  • 個別株と半導体ETFの違い

半導体株とは何を指す?

半導体株とは、半導体の設計、製造、検査、製造装置、材料などに関わる上場企業の株式をまとめた呼び方です。正式な業種名ではないため、どこまでを半導体株に含めるかについて厳密な決まりはありません。

一般には、半導体そのものを開発・販売する企業に加え、半導体工場で使用される装置を製造する企業、完成した半導体の性能を検査する企業、シリコンウエハーや電子材料を供給する企業なども半導体関連株として扱われます。

半導体株にはさまざまな種類がある

「半導体の需要が増えれば、すべての半導体株が同じように上昇する」とは限りません。企業ごとに担当する工程や主要顧客、得意とする製品が異なるためです。

  • 半導体設計:AI向けGPU、CPU、通信用半導体などを設計する
  • 半導体製造:設計会社などから依頼を受けて半導体を生産する
  • メモリ:データを保存するDRAM、NAND、HBMなどを扱う
  • 製造装置:成膜、洗浄、露光、エッチングなどに使う装置を提供する
  • 検査・計測:半導体が正常に動作するかを確認する装置を提供する
  • 材料:シリコンウエハー、フォトレジスト、特殊ガスなどを供給する

例えば、AI向け半導体の需要が増えた場合、半導体を設計する企業だけでなく、受託製造会社、メモリ会社、検査装置会社などにも恩恵が広がる可能性があります。ただし、利益への影響が表れる時期や大きさは企業によって異なります。

「半導体の株価」という一つの価格は存在しない

半導体株には多数の企業が含まれるため、「半導体の株価」という共通の価格があるわけではありません。東京エレクトロンとルネサスエレクトロニクスでは事業内容が異なり、同じ日に一方が上昇し、もう一方が下落することもあります。

業界全体の値動きを確認する代表的な指標には、米国のフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)があります。SOX指数は、半導体の設計、製造、販売などを行う主要企業で構成される指数です。日本の半導体株も米国市場の動きを受けやすいため、国内株を保有する場合でも参考になります。

2026年の半導体市場は成長する一方、株価の変動も大きい

世界半導体市場統計(WSTS)が公表した2026年春季予測では、2026年の世界半導体市場は前年比約90%増の約1兆5,100億ドルに達すると予測されています。特に、生成AI用サーバーで利用される高性能な演算用半導体やHBMなどのメモリが成長をけん引するとされています。

米国半導体工業会(SIA)によると、2026年5月の世界半導体販売額は3か月移動平均で約1,206億ドルとなり、前月比9.2%増、前年同月比104.1%増でした。市場規模の拡大が続いていることは、半導体企業の業績を考えるうえで重要な材料です。

また、経済産業省は2026年6月に半導体・デジタル産業戦略を改定しています。半導体は産業競争力だけでなく、経済安全保障の面からも重要性が増しており、日本国内でも工場、研究開発、人材育成などへの投資が進められています。

市場の成長と株価上昇は同じではない

半導体市場が拡大していても、半導体株が常に上昇するわけではありません。株価は現在の業績だけでなく、将来の成長に対する期待まで先に織り込んで動くからです。

2026年7月には、企業業績が伸びていても、AI関連投資の継続性や株価評価の高さを警戒する売りが広がりました。7月17日にはSOX指数が6月につけた直近高値から約20%下落し、7月24日にはアドバンテストや東京エレクトロンが大きく下落する場面もありました。

このように半導体株では、好決算を発表しても「市場が期待していた水準に届かなかった」という理由で株価が下落することがあります。反対に、業績が減少していても、回復の兆しが示されたことで株価が上昇する場合もあります。

半導体株を理解するには、企業名だけでなく、各社がどの工程で利益を得ているのかを知る必要があります。代表的な企業と株価が動く仕組みを次のページで詳しく見ていきましょう。