
3.米国の半導体株安が日本市場へ波及した
日本の半導体関連株は、米国市場の値動きに影響されやすい傾向があります。東京市場が始まる時点では、前日の米国市場の取引がすでに終了しているためです。
前日のSOX指数やナスダック総合指数が大きく下落すると、東京市場でも半導体関連株に売り注文が集まりやすくなります。
日本の製造装置会社や検査装置会社は、海外の半導体メーカーやデータセンター投資の影響を受けます。そのため、米国のAI半導体企業の株価下落が、直接的な取引関係の有無にかかわらず、日本株全体の投資家心理を冷やすことがあります。
4.日経平均株価に半導体株の影響が表れやすい
日経平均株価は、構成銘柄の調整後の株価を合計して算出する平均株価型の指数です。東京エレクトロンやアドバンテストなど、指数への影響が大きい半導体関連株が下落すると、日経平均全体の下げ幅も大きくなりやすい特徴があります。
そのため、日経平均が大幅に下落していても、東京市場のすべての企業が同じ程度下がっているとは限りません。
2026年7月24日は日経平均株価が2.73%下落した一方、TOPIXの下落率は1.05%でした。半導体株や大型ハイテク株の下落が、日経平均へ強く表れた例といえます。
5.金利上昇や原油高への警戒
半導体株のように将来の高い成長が期待されている銘柄は、金利上昇時に売られやすくなることがあります。
金利が上がると、将来得られる利益を現在の価値に置き換えた金額が小さくなります。また、債券や預金などから得られる利回りが高くなれば、株式の相対的な魅力が低下する場合があります。
中東情勢の悪化などで原油価格が上昇すると、インフレの長期化や金利上昇への懸念も強まります。2026年7月前半の日本株市場では、半導体株の調整に加え、中東情勢や原油高を警戒したリスク回避の売りも確認されました。
6.円高が日本企業の利益を押し下げると意識された
海外売上高の比率が高い日本の半導体関連企業では、円相場が株価材料になります。
円安になると、海外で得た売上高や利益を円換算した金額が増えることがあります。反対に円高が進むと、円換算の業績が下押しされるとの見方から株価が下落する場合があります。
ただし、為替の影響は企業によって異なります。海外から部品や材料を仕入れている企業では、円高によって調達費用が下がる可能性もあります。単純に「円高はすべての半導体株に不利」とは限りません。
7.輸出規制や貿易政策への懸念
先端半導体や半導体製造装置は、経済安全保障上の重要な製品です。米国、日本、オランダなどの輸出管理政策によって、特定地域へ販売できる製品が制限される場合があります。
輸出規制が強化されると、半導体企業や製造装置会社では、販売先の減少、製品仕様の変更、許可取得の遅れなどが発生する可能性があります。
規制の影響は企業ごとに異なります。売上高に占める対象地域の割合や、規制対象となる製品の有無を確認する必要があります。
8.メモリ価格の上昇が止まるとの警戒
2026年の半導体市場は、HBMを含むメモリ分野が成長をけん引すると予測されています。しかし、メモリ市場は需要と供給の変化によって価格が大きく動きやすい分野です。
製品価格が上昇するとメモリメーカーの利益は増えやすくなりますが、各社が生産能力を一斉に拡大すると、将来的に供給過剰になる可能性があります。
株式市場では実際に価格が下落する前から、増産計画や顧客在庫の増加を理由に将来の価格低下が意識されることがあります。その結果、足元の業績が好調でも株価が下落する場合があります。
分野によって半導体株の下落理由は異なる
| 分野 | 主な下落要因 | 確認したい項目 |
|---|---|---|
| AI半導体 | AI投資の減速、競合製品の登場、顧客の自社開発 | 大手IT企業の設備投資、新製品、受注見通し |
| メモリ | 製品価格の下落、在庫増加、供給過剰 | HBM・DRAM・NAND別の価格と生産計画 |
| 製造装置 | 顧客の設備投資削減、受注減少、輸出規制 | 受注高、受注残高、地域別売上高 |
| 検査装置 | 新製品の量産遅延、検査需要の減少 | AI向け売上比率、テスター需要、顧客構成 |
| 半導体材料 | 工場稼働率の低下、顧客在庫の増加 | 出荷数量、販売単価、原材料費 |
| 車載半導体 | 自動車生産の減少、在庫調整の長期化 | 自動車販売台数、顧客在庫、工場稼働率 |
好決算なのに株価が下落するのはなぜ?
半導体株では、好決算の発表後に株価が下落することがあります。これは珍しい動きではありません。
市場予想を下回った
会社が発表した売上高や利益が前年を上回っていても、市場参加者が予想していた数字を下回れば失望売りが出る場合があります。
次の四半期の見通しが慎重だった
過去の実績が好調でも、企業が次の四半期について成長鈍化や費用増加を示した場合、株価は将来の悪化を先回りして下落することがあります。
株価に好決算が織り込まれていた
決算発表前に株価が大きく上昇している場合、投資家はすでに好決算を予想している可能性があります。予想通りの数字では新たな買い材料にならず、材料出尽くしとして売られることがあります。
利益率やキャッシュフローが悪化した
売上高が増えていても、製造費用や研究開発費がそれ以上に増えれば、利益率は低下します。設備投資が急増し、手元資金が減っている場合も警戒されることがあります。
半導体株の下落が一時的な価格調整なのか、企業の成長力低下を示しているのかでは、取るべき対応が異なります。見分けるための具体的な項目を次のページで解説します。




