データセンター冷却関連銘柄を解説|AI時代に注目される日本株・海外株とは

海外の代表的なデータセンター冷却関連銘柄

米国や欧州市場には、データセンター向けの電源・空調・液冷設備を世界規模で提供する企業が上場しています。海外株へ投資する場合は、業績だけでなく為替や現地市場の金利も確認する必要があります。

企業名ティッカー主な冷却関連事業主な注意点
Vertiv HoldingsVRTCDU、液冷、空調、電源設備株価評価、受注の継続性、顧客集中
Schneider ElectricSUMotivairのCDU、液冷制御、電源管理買収効果、統合費用、幅広い事業構成
Johnson ControlsJCIチラー、CDU、空調制御、熱管理データセンター事業の利益寄与
Modine ManufacturingMODAiredaleブランドのデータセンター冷却大型顧客への依存、生産能力、設備投資

Vertivは電源と冷却をまとめて提供

Vertivは、データセンター向けのUPS、配電設備、空調機、CDU、液冷システムなどを提供しています。AIサーバー向けでは、空冷と液冷を組み合わせた高密度設備への対応を進めています。

冷却だけでなく電力設備も持つため、AIデータセンターに必要なインフラをまとめて提供できる点が特徴です。一方、AI関連の成長期待によって株価評価が高くなっている局面では、業績が市場予想へ届かなかった場合に価格が大きく変動する可能性があります。

Schneider ElectricはMotivairを通じて液冷を強化

Schneider Electricは、電力管理やデータセンター設備を世界各地で提供するフランス企業です。2025年に液冷技術を持つMotivairの経営権を取得し、CDU、チラー、液冷制御などの製品群を拡充しました。

電源設備、ラック、監視ソフトウエア、冷却設備を組み合わせて提供できる点が強みです。ただし、同社は工場、ビル、住宅など幅広い市場を対象としているため、データセンター冷却だけの成長率を把握しにくい場合があります。

Johnson ControlsはチラーとCDUの両方を展開

Johnson Controlsは、建物向け空調や制御設備を手がける企業です。データセンター向けでは、YORKブランドのチラーや、Silent-Aireブランドの冷却設備を提供しています。

2025年には、高密度データセンター向けのCDU製品群を発表しました。また、二相式の直接液冷技術を持つAccelsiusへ出資し、液冷関連の事業領域を広げています。

ModineはAiredaleブランドで冷却需要を取り込む

Modine Manufacturingは、熱管理技術を持つ米国企業です。Airedaleブランドで、チラー、精密空調機、ファンウォール、冷却制御システムなどを提供しています。

2026年には、AIデータセンター向けの3MW超の空冷式ハイブリッドチラーを発表しました。また、特定のデータセンター顧客向けに、2027年から2029年まで冷却製品を供給する大型の長期契約を公表しています。

大型契約は将来の売上につながる可能性がある一方、特定顧客への依存度、生産設備の増強費用、予定通り製品を供給できるかといった点を確認する必要があります。

データセンター冷却銘柄を選ぶ6つのポイント

1.冷却関連の売上比率を確認する

会社が液冷製品を発表していても、売上全体に占める割合が小さければ、データセンター市場の成長が業績へ与える影響は限定的です。

決算資料や事業説明会資料で、データセンター向け売上、受注高、受注残、地域別売上などが開示されているかを確認します。

2.実証実験と商用受注を区別する

新しい冷却技術では、共同開発、実証実験、基本合意が発表されることがあります。しかし、実証を始めた段階では売上がほとんど発生していない可能性があります。

量産開始、正式受注、納入、施設の稼働など、収益化までの段階を区別することが大切です。

3.空冷と液冷の両方に対応できるかを見る

液冷が注目されていても、すべてのサーバーが短期間で液冷へ移行するとは限りません。一般的なサーバーには空冷を使い、高性能なGPU部分には液冷を使うハイブリッド型の施設もあります。

空調、チラー、CDU、制御システムなどを組み合わせて提供できる会社は、データセンターごとに異なる冷却需要へ対応しやすい可能性があります。

4.生産能力と部品の調達状況を確認する

需要が増えても、工場の生産能力や技術者が不足すれば、売上を十分に伸ばせません。CDU、ポンプ、熱交換器、冷却ファンなどの生産能力を増強しているか、納期が長期化していないかを確認します。

5.受注額だけでなく利益率を見る

大型データセンター向け設備は、個別設計や現地工事を伴うことがあります。売上が増えても、部材価格、人件費、輸送費、開発費が増えれば、利益が伸びない可能性があります。

営業利益率、売上総利益率、営業キャッシュフロー、設備投資額などを合わせて確認する必要があります。

6.現在の株価に期待が織り込まれているかを見る

生成AIや液冷は注目度の高いテーマです。将来の成長が期待される企業では、実際の利益が増える前に株価が上昇することがあります。

PERやPBRだけでなく、予想利益の成長率、同業他社との比較、過去の株価推移、受注の実現性などを確認することが重要です。

冷却関連銘柄に投資するときの主なリスク

液冷の普及速度が予想を下回る可能性

液冷は高性能なAIサーバーに適した技術ですが、導入には配管、CDU、保守体制などが必要です。既存データセンターの改修が進まず、普及に時間がかかる可能性があります。

技術方式が統一されない可能性

直接液冷、二相式液冷、液浸冷却など複数の方式が開発されています。将来主流になる方式が変われば、特定技術へ投資してきた企業が追加の開発費を負担することも考えられます。

データセンター建設の延期

電力不足、送電網への接続待ち、建設費の上昇、許認可の遅れなどによって、データセンターの開業時期が延期されることがあります。冷却機器の納入や設備工事も後ろ倒しになる可能性があります。

大手顧客への依存

AIデータセンター市場では、一部の大手クラウド企業が大規模な設備投資を行っています。特定顧客の注文が売上の大きな割合を占める企業では、その顧客が投資計画を変更した場合の影響が大きくなります。

為替や金利による価格変動

海外株は、企業の業績が好調でも円高によって円換算の投資成果が減る場合があります。また、データセンターや製造工場の建設には多額の資金が必要なため、金利上昇が設備投資や株価評価へ影響することがあります。

データセンター冷却銘柄のよくある疑問

液冷関連銘柄は今後必ず成長しますか?

液冷需要が拡大しても、すべての関連企業の利益や株価が上昇するとは限りません。競争激化、製品価格の低下、開発費の増加、設備投資の延期などによって、業績が伸びない可能性があります。

空調メーカーと設備工事会社はどちらが有望ですか?

一概には判断できません。空調メーカーは複数の施設へ製品を販売できますが、製品開発や工場増設が必要です。設備工事会社は建設需要を取り込める一方、人件費や資材費の影響を受けます。

データセンター運営会社も冷却関連銘柄ですか?

データセンター運営会社は冷却設備を利用する側であり、冷却装置を製造する会社とは収益構造が異なります。省エネルギーな冷却技術を導入すれば電力費を抑えられる可能性がありますが、設備導入のための投資負担も発生します。

1社に絞れない場合はどうすればよいですか?

空調メーカー、液冷部品メーカー、設備工事会社など、異なる事業へ分散する方法があります。海外株やETFを利用する選択肢もありますが、組入銘柄、手数料、為替変動、信託報酬などの確認が必要です。

話題性よりも冷却事業の収益化を確認する

AIサーバーの高性能化によって、データセンターの冷却は単なる付帯設備ではなく、処理能力や電力効率を左右する重要なインフラになっています。空調機、チラー、CDU、ポンプ、ファン、設備工事など、幅広い企業に事業機会が生まれる可能性があります。

一方、液冷技術の発表や実証実験が、すぐに大きな利益へつながるとは限りません。データセンター向け売上の比率、正式受注、量産状況、利益率、設備投資、顧客構成まで確認することが重要です。

データセンター冷却というテーマだけで銘柄を選ばず、その会社がどの設備を提供し、どの段階で収益を得るのかを整理することで、期待だけに左右されにくい投資判断につながります。

本記事はデータセンター冷却関連企業についての情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の購入や売却を推奨するものではありません。株式などの金融商品は価格が変動し、元本割れが生じる可能性があります。

<参考サイト> 国際エネルギー機関(IEA)/ダイキン工業/ニデック/三菱重工業/高砂熱学工業/三機工業/Vertiv/Schneider Electric/Johnson Controls/Modine Manufacturing/東京証券取引所