
生成AIやクラウドサービスの普及を背景に、データセンター関連銘柄への関心が高まっています。ただし、ひとくちにデータセンター銘柄といっても、施設を運営する会社、サーバーに電力を供給する会社、冷却設備を手がける会社、建設工事を担う会社では、収益の仕組みが大きく異なります。本記事では、代表的な日本株・米国株を取り上げながら、注目される理由、銘柄選びのポイント、投資前に確認したいリスクをわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- データセンター関連銘柄が注目されている理由
- 日本の代表的なデータセンター関連銘柄
- 米国のデータセンター運営・設備関連銘柄
- 業績や将来性を確認するときのポイント
- テーマ株特有のリスクと注意点
なぜ今、データセンター関連銘柄が注目されているのか
データセンターとは、サーバーや通信機器を設置し、データの保存、計算処理、通信などを行うための施設です。インターネット通販、動画配信、オンラインゲーム、企業のクラウドシステムなど、さまざまなサービスがデータセンターによって支えられています。
近年は、生成AIの学習や推論に大量の計算処理が必要となることから、高性能なGPUサーバーを収容できる「AIデータセンター」の整備が世界各地で進められています。
AIの普及で電力需要が急速に増えている
国際エネルギー機関(IEA)は、世界のデータセンターによる電力消費量が、2030年には約945TWhに達するとの見通しを示しています。これは2024年と比較して約2倍の水準であり、増加の大きな要因としてAI向けデータセンターが挙げられています。
AIサーバーは、一般的なサーバーよりも多くの電力を使い、大量の熱を発生させます。そのため、施設そのものだけではなく、次のような設備への需要も拡大する可能性があります。
- 停電時にも電力を供給する無停電電源装置(UPS)
- 受変電設備、配電盤、変圧器
- 空冷・水冷・液冷などの冷却設備
- 非常用発電機や蓄電池
- 光ファイバーや通信ネットワーク
- データセンターの設計、建設、電気設備工事
データセンター市場の拡大は、運営会社だけでなく、電力、空調、通信、建設、半導体といった幅広い業種に影響します。
日本でもデータセンターと電力の一体整備が課題に
日本では東京圏や大阪圏を中心にデータセンターが集積しています。一方、生成AI向け施設では大量の電力が必要になるため、希望する場所にすぐ建設できるとは限りません。
送電網の容量、電力の確保、建設用地、災害リスク、通信回線などを考慮しながら、データセンターと電力インフラを一体的に整備することが重要になっています。経済産業省や資源エネルギー庁も、データセンターの電力需要とエネルギー効率を重要な政策課題として取り上げています。
データセンター銘柄は4つの種類に分けて考える
関連企業を一括りにするのではなく、データセンターとの関わり方によって分類すると、事業内容を理解しやすくなります。
1.データセンター運営会社
自社でデータセンターを保有または運営し、サーバーの設置場所、電力、通信回線、保守サービスなどを提供します。施設の稼働率が上がれば安定収入を得やすい一方、建物や設備への多額の投資が必要です。
2.通信・クラウド事業者
通信回線、クラウド、データセンターを組み合わせて企業向けサービスを提供します。データセンター事業の成長が期待できる一方、会社全体では携帯電話やシステム開発など、ほかの事業が業績に大きく影響することがあります。
3.電源・冷却設備メーカー
UPS、変圧器、配電盤、蓄電池、空調、液冷装置などを供給します。複数のデータセンター運営会社に製品を販売できる点が特徴ですが、設備投資の延期や部材価格の上昇が業績に影響する可能性があります。
4.建設・設備工事会社
データセンターの建物、電気設備、通信設備、空調設備などを施工します。建設需要の拡大が追い風になる一方、資材費や人件費の上昇、技術者不足、工期の遅れなどに注意が必要です。
運営会社だけではありません。AIデータセンターの拡大で恩恵を受ける可能性がある日本企業を、事業別に次のページで紹介します。
