
生成AIの普及によって、データセンターで使われるサーバーの処理能力と発熱量が急速に高まっています。そこで重要になるのが、サーバーを安定して動かすための冷却設備です。従来の空調による冷却だけでなく、冷却液を使って半導体を直接冷やす液冷技術への投資も広がっています。本記事では、データセンター冷却に関わる日本株・海外株を取り上げながら、冷却方式の違い、企業ごとの事業内容、銘柄選びで確認したいポイントをわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- データセンター冷却銘柄が注目される理由
- 空冷・液冷・水冷などの仕組みと違い
- 日本の代表的なデータセンター冷却関連銘柄
- 米国や欧州のデータセンター冷却関連銘柄
- 業績や将来性を判断するときの確認項目
- 冷却テーマ株に投資するときの注意点
なぜデータセンターの冷却技術が注目されているのか
データセンターには、企業のシステム、動画配信、インターネット通販、クラウドサービスなどを支える多数のサーバーが設置されています。サーバーは計算処理を行う際に熱を発生させるため、安定して稼働させるには継続的な冷却が必要です。
特に生成AIの学習や推論では、多数のGPUを搭載した高性能なAIサーバーが使われます。GPUの処理能力が高くなるほど消費電力と発熱量も増えるため、従来型の空調だけでは十分に冷やせないケースが増えています。
国際エネルギー機関(IEA)の2026年時点の見通しでは、世界のデータセンターによる電力消費量は、2025年の約485TWhから2030年には約950TWhへ拡大すると予測されています。AI向けデータセンターの電力消費は、同じ期間に約3倍へ増加する見通しです。
データセンターの電力需要が増えれば、サーバーを冷やす設備にも高い省エネルギー性能が求められます。そのため、次のような事業を持つ企業が関連銘柄として注目されます。
- 業務用空調機や大型冷凍機を製造する会社
- 冷却液を循環させるCDUを製造する会社
- サーバー用ファンや水冷モジュールを製造する会社
- データセンターの空調設備を設計・施工する会社
- 冷却設備の運転を最適化する制御システムを提供する会社
データセンターで使われる主な冷却方式
データセンター冷却関連銘柄を比較するには、企業名だけでなく、どの冷却方式に関わっているのかを理解することが大切です。
空調機で室内全体を冷やす空冷方式
空冷方式は、冷たい空気をサーバーラックの前面から送り込み、背面から排出される熱い空気を空調機へ戻す方法です。従来のデータセンターで広く採用されています。
設備構成が比較的わかりやすく、既存施設にも導入しやすい点が特徴です。一方、発熱量の大きいAIサーバーが集中すると、冷気が十分に届かない場所や熱がたまる場所が発生する可能性があります。
チラーで冷水をつくる水冷方式
水冷方式では、チラーと呼ばれる大型の冷凍機で冷水をつくり、空調機や熱交換器へ供給します。大型データセンターでは、冷却設備全体の効率を高めるため、外気温が低い時期に自然冷熱を利用するフリークーリングが組み合わされることもあります。
チラー、ポンプ、配管、熱交換器、制御システムなど多数の設備が必要になるため、空調メーカーだけでなく、設備工事会社やポンプメーカーにも事業機会が生まれます。
半導体を直接冷やす液冷方式
液冷方式は、冷却液を使ってGPUやCPUなどの発熱部品を直接冷やす方法です。代表的なものが「ダイレクト・トゥ・チップ」と呼ばれる方式で、半導体に取り付けたコールドプレートへ冷却液を流します。
液体は空気よりも熱を運びやすいため、高密度なAIサーバーを効率的に冷却できます。ただし、液漏れ対策、冷却液の品質管理、配管設備、既存空調との連携などが必要です。
サーバー全体を液体に沈める液浸冷却
液浸冷却は、電気を通しにくい特殊な液体の中へサーバーや電子部品を沈める方法です。ファンによる冷却を減らし、高い冷却性能を得られる可能性があります。
一方、対応するサーバーや保守方法が限られることもあり、現時点ですべてのデータセンターで一般的に使われているわけではありません。実証実験や特定用途での導入を含め、今後の普及状況を確認する必要があります。
空調大手だけが対象ではありません。液冷装置、ファン、配管、設備工事まで、AIサーバーの発熱対策に関わる日本企業を次のページで紹介します。
