
半導体株価を動かす7つの主な要因
1.米国市場の半導体株
東京市場が始まる前には、すでに米国市場の取引が終了しています。前日のSOX指数やナスダック総合指数が大きく下落すると、日本の半導体株にも売りが広がることがあります。
特に、米国の大手半導体企業が決算や業績予想を発表した翌日は、日本の製造装置会社、検査装置会社、材料会社なども影響を受けやすくなります。
ただし、米国企業と日本企業では製品や顧客が異なります。米国株が上昇したという理由だけで、日本企業の業績も同じように伸びるとは限りません。
2.生成AIとデータセンターへの投資
生成AIの学習や利用には、高性能な演算用半導体、メモリ、通信部品などが必要です。大手IT企業がデータセンターへの設備投資を増やすと、半導体の設計会社だけでなく、受託製造会社や製造装置会社にも需要が広がる可能性があります。
米国半導体工業会が2026年7月に発表した最新統計では、2026年5月の世界半導体販売額は3か月移動平均で1,206億ドルでした。前月比9.2%増、前年同月比104.1%増となり、世界市場では販売拡大が続いています。
一方、半導体市場が拡大していても、株価が必ず上がるわけではありません。株価には将来の成長期待があらかじめ織り込まれているためです。
3.企業の決算と業績予想
半導体株では、売上高や営業利益の実績だけでなく、次の四半期や通期の業績予想が重視されます。
増収増益の決算でも、市場が予想していた数字を下回れば株価が下落することがあります。反対に、赤字や減益であっても、今後の回復見通しが示されれば株価が上昇する場合があります。
決算発表では、次の項目を確認すると状況を把握しやすくなります。
- 売上高と営業利益の増減
- 営業利益率や粗利益率
- 受注高と受注残高
- 在庫の増減
- 次の四半期や通期の会社予想
- AI、メモリ、車載など製品分野ごとの見通し
4.メモリ価格と在庫
DRAMやNAND型フラッシュメモリは、需要と供給によって販売価格が変わりやすい製品です。供給不足で価格が上昇すれば、メモリメーカーの利益が増える可能性があります。
一方、メーカーが一斉に増産すると、供給が需要を上回って価格が下落する場合があります。メモリ価格が下がると、製造装置や材料の発注が減る可能性もあります。
AI向けに使われるHBMが好調でも、スマートフォンやパソコン向けのメモリが同じように好調とは限りません。製品ごとの需給を見る必要があります。
5.半導体メーカーの設備投資
製造装置会社や検査装置会社の株価は、半導体メーカーが工場や製造ラインへどの程度投資するかに左右されます。
新工場の建設や先端製造工程への移行が発表されると、装置需要への期待から株価が上昇することがあります。ただし、投資計画の発表から装置の受注、納入、売上計上までには時間差があります。
設備投資が拡大しすぎた場合は、数年後に生産能力が余り、投資が縮小する可能性にも注意が必要です。
6.円相場
海外売上高の比率が高い日本企業では、円安になると海外で得た売上高や利益の円換算額が増える場合があります。そのため、円安が半導体株の買い材料になることがあります。
ただし、海外から購入する部品や原材料の費用も上昇します。円安が必ず利益増加につながるわけではなく、企業ごとの生産拠点や調達方法によって影響が異なります。
7.輸出規制や国際情勢
高性能半導体や半導体製造装置は、経済安全保障上の重要な製品です。各国の輸出規制や関税政策が変更されると、販売できる地域や製品が制限される可能性があります。
また、半導体工場や材料の生産地域で災害、紛争、物流の混乱が起きた場合、供給への影響が意識されて株価が動くことがあります。
株価情報はどこを見ればよい?
日本株の通常の取引時間は、午前9時から11時30分までと、午後0時30分から3時30分までです。株価は証券会社の取引画面、取引所の情報、金融情報サイトなどで確認できます。
表示される株価がリアルタイムか、15分程度遅れた情報かはサービスによって異なります。実際に注文を出す場合は、利用している証券会社の画面で現在値や気配値を確認することが大切です。
株価画面で確認したい基本項目
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| 現在値 | 直近で売買が成立した価格 |
| 前日比 | 前日の終値からどれだけ動いたか |
| 始値 | その日の最初に成立した価格 |
| 高値・安値 | その日の最も高い価格と低い価格 |
| 出来高 | 売買が成立した株数 |
| 売買代金 | 売買された金額の合計 |
株価が上昇していても、出来高が少ない場合は一部の注文によって価格が大きく動いている可能性があります。株価の方向だけでなく、どの程度の売買を伴っているかも確認しましょう。
株価が高い企業は「割高」とは限らない
1株1万円の会社が、1株2,000円の会社より割高とは限りません。株価の金額は、発行済み株式数や株式分割の影響を受けるためです。
企業の株価水準を比較するときは、株価そのものだけでなく、時価総額やPER、PBRなどの指標を使います。
- 時価総額:株価に発行済み株式数を掛けた企業全体の市場価値
- PER:株価が1株当たり利益の何倍まで買われているかを示す
- PBR:株価が1株当たり純資産の何倍かを示す
ただし、半導体企業は利益の変動が大きいため、PERが低いだけで割安とは判断できません。利益がピークにあるときはPERが低く見え、その後の減益で割高になる場合があります。
株価チャートが上向きでも、企業の利益や受注が同じように伸びているとは限りません。購入前に確認したい比較方法とリスクを次のページで整理します。




