新興国株は、インド、台湾、韓国、中国、ブラジルなど、成長余地のある国や地域の株式に投資する方法です。米国株や全世界株と比べて値動きが大きくなりやすい一方、人口増加や産業発展の恩恵を期待できる点が特徴です。ただし、「成長しそうだから買えばよい」と単純に考えると、為替変動や政治・制度面のリスクで思わぬ損失につながることもあります。この記事では、新興国株とは何か、インデックス投資信託やETFの違い、長期投資での考え方、NISAで買う際の注意点まで、初心者にもわかりやすく整理します。

新興国株や世界経済の動向をイメージしたチャート画像

この記事でわかること

  • 新興国株とは何か、先進国株との違い
  • 新興国株インデックスの構成国・特徴・PERの見方
  • 新興国株のメリットとデメリット
  • 投資信託・ETF・eMAXIS Slimなどを選ぶときの注意点
  • 長期投資で新興国株をどれくらい持つかの考え方

新興国株とは?成長余地のある国にまとめて投資する方法

新興国株とは、経済や金融市場が発展途上にある国・地域の株式を指します。一般的には、先進国ほど市場制度や通貨の安定性が高くない一方で、人口増加、所得水準の上昇、インフラ整備、デジタル化などによる成長が期待される国々が対象です。

代表的な新興国株インデックスであるMSCI Emerging Markets Indexは、新興国の大型株・中型株を対象にした指数です。MSCI公式情報では、2026年5月末時点で1,205銘柄で構成され、各国の浮動株調整後時価総額のおおむね85%をカバーする指数とされています。

新興国と聞くと「経済規模が小さい国だけ」と思われがちですが、実際には台湾、韓国、中国、インドなど、世界的な大企業を抱える国・地域も含まれます。たとえば、MSCI Emerging Markets Indexの上位銘柄には、台湾の半導体企業、韓国の電機・半導体企業、中国のインターネット関連企業などが含まれています。

新興国株インデックスの構成国は変わる

新興国株インデックスの構成国や構成比率は、固定ではありません。経済規模、株式市場の開放度、流動性、外国人投資家が投資しやすい制度かどうかなどをもとに、指数提供会社が定期的に見直します。

そのため、同じ「新興国株インデックス」と呼ばれる商品でも、連動する指数が異なれば構成国や値動きは変わります。特に中国、台湾、韓国、インドなどの比率が大きい商品では、特定の国や半導体関連企業の動きが基準価額に強く影響することがあります。

PERだけで「割安」と判断しない

新興国株を調べると、「PERが低いから割安なのでは」と感じる場面があります。PERは株価が利益の何倍まで買われているかを見る指標で、株式市場の評価を知る手がかりになります。

ただし、新興国株のPERは、会計基準、金利水準、通貨リスク、政治リスク、企業統治の違いなども反映されます。PERが低いから必ず上がるわけではありません。むしろ、市場が何らかのリスクを織り込んでいるために低く評価されている場合もあります。

新興国株のメリットは?長期投資で期待される3つのポイント

1. 人口増加や所得上昇の恩恵を受けやすい

新興国の中には、若い人口が多く、今後の消費拡大が期待される国があります。所得が増えると、スマートフォン、金融サービス、自動車、医療、教育、住宅、外食など、生活に関わる幅広い分野で需要が伸びる可能性があります。

こうした成長を個別企業ごとに見極めるのは簡単ではありませんが、新興国株インデックス投資信託を使えば、複数の国・企業へ分散投資できます。

2. 米国株や先進国株とは違う値動きが期待できる

米国株だけに投資している場合、米国経済や米国の金利、米ドルの動きに資産全体が大きく左右されます。新興国株を一部組み入れることで、投資先の地域を広げる効果が期待できます。

ただし、近年は世界中の株式市場が連動して下落する場面もあります。新興国株を入れれば必ずリスクが下がる、というものではありません。あくまで、資産全体の偏りを小さくする選択肢のひとつとして考えるのが現実的です。

3. 全世界株に含まれる新興国比率を自分で調整できる

全世界株式インデックスに投資している場合、多くの商品では先進国株と新興国株の両方が含まれます。そのため、すでに全世界株を保有している人は、新興国株にも一定程度投資していることになります。

一方で、「新興国の成長をもう少し取り込みたい」と考える場合は、新興国株インデックスファンドを少額追加する方法もあります。ただし、追加しすぎると値動きが大きくなり、下落時に不安を感じやすくなります。

新興国株の魅力は成長性だけではありません。次のページでは、投資前に必ず知っておきたいリスクとデメリットを整理します。