備蓄米ってどんなもの?詳細を解説

備蓄米ってどんなものなの?と何となく不安に思われている方も多いのではないでしょうか?今回は備蓄米の詳細や備蓄米制度の背景、その他政府の備蓄量など、備蓄米の概要について解説したいと思います。

備蓄米とは?

備蓄米とは、政府や自治体が凶作や災害に備えて備蓄している米のことです。特に、今回騒がれている政府の備蓄米は、米の生産量が不作で落ち込んで米不足が発生した際に、それを補うものとして備蓄されているものです。

政府の備蓄量と備蓄後の対応

備蓄量は約100万トンで、毎年20万トン購入して5年分が全国の倉庫に備蓄されています。この量は10年に1度の不作にも対応できるようになっています。保管期間の5年を過ぎると家畜の餌の「飼料用」として販売される他、一部は学校給食やフードバンク、こども食堂などに無償で提供されたりします。

どんな米が備蓄されている?

備蓄米は5年経っても味や品質が劣化しないように、玄米の形で保存されており、温度、湿度が一定に保たれた低温倉庫で保存されています。また、備蓄米とはいえ「コシヒカリ」や「はえぬき」などの銘柄米が保存されており、今回これらの銘柄米が備蓄米として販売されます。

備蓄米制度の背景

元々、日本には戦時中に定められた食糧管理法に基づいて不作に備えて一定量の在庫を持っているだけでした。しかし、1991年の不作、1993年の大凶作により完全に在庫が尽き、米を外国から緊急輸入をする事態にまで陥りました。この経験から、食糧管理法が廃止され、1995年に「主要食糧の需要及び価格の安定に関する法律」が施行され、備蓄米制度が始まりました。

過去の備蓄米の放出例

これまでに備蓄米が活用されたのは3回あり、そのうち2回は大震災後に主食として販売されました。2011年東日本大震災の際に4万トン、2016年熊本地震の際に90トンがそれぞれ販売されています。この他、去年の不作を受けてせんべいなどの加工用として1万トンが販売されました。

出典:NHK

なぜ今備蓄米は市場に放出されるのか

農林水産省はコメの流通の目詰まりの解消を狙いとしています。不作による米の不足を防ぐために出し渋りが始まり、価格が上がる原因になりました。値上がり前の米は5キロ2000円前後の価格帯でした。品薄となりスーパーから米が減った2024年8月には2600円になり、9月には3000円を超えました。

2024年秋に新米の流入による価格の下降が見込まれていましたが、値段の高騰は止まらず、2025年3月には4000円を超え値上がり前の約2倍となっています。米の流通量が減り価格が高騰したことから米離れが加速するのではないかと懸念されており、米の流通量と価格を適正な状態に戻すために備蓄米の放出が決定されました。